Cephamycin系抗生剤であるCefotetan (CTT, YM09330) について基礎的, 臨床的検討を行った。
患者由来のS.aureusに対するCTTの抗菌力は6.25~12.5μg/mlであり, Cefazolin (CEZ), Cefmetazole (CMZ), Cefoxitin (CFX) に比し劣っていた。しかし患者由来のグラム陰性桿菌に対する本剤の抗菌力は優れており, MICのピーク値は10
8接種の場合, Ecoliでは0.39μg/ml, Pmimbilis 1.56μg/ml,
P.vulgaris 0.39μg/ml,
S.mrcescms 6.25μg/ml, Pcepacia 25μg/mlであり, いずれもCEZ, CMZ, CFXより優れた抗菌力を示した。しかし
P.aemgimsa, Acinetobacterに対してはすべて100μg/ml以上のMICを示した。
本剤0.5gを1時間かけて点滴静注した場合の最高血中濃度は, 35~42μg/ml (平均39.7μg/ml) であり, 点滴開始後2時間, 4時間, 6時間および8時間のそれぞれの平均値は, 15.7μg/ml, 10.5μg/ml, 7.5μg/ml, 4-5μg/mlであった。さらに本剤1.0g1時間点滴静注後の最高血中濃度は62~85μg/ml (平均73.5μg/ml) であり, 点滴開始後2, 4, 6時間のそれぞれの平均値は, 29.0μg/ml, 21.5μg/ml, 16.8μg/mlであった。
尿中排泄率は0.5gの場合8時間までで58.8%, 1.0gの場合6時間までで33.2%であった。
呼吸器感染症患者14例を対象として, 本剤1回0.5~1.0g, 1日2回点滴静注法で7~21日間使用して, 臨床効果ならびに副作用について検討した結果, 効果判定の可能であった13例中, 有効9例, やや有効3例, 無効1例で, 有効率は69.2%であった。副作用は2例に発熱, 発疹が認められたが, いずれも本剤中止により症状は速やかに消失した。臨床検査値の異常を示したものはなかった。
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