今回, 私達は人口約300人の離島 (無歯科医村) という上殊環境下において, 口腔疾患予防活動 (以下予防活動) の一つとして, 申し出のあった住民56名に対し, Professional Tooth Cleaning (以下PTC) を主体にした予防活動を5年間にわたり行なった。予防活動の前後で予防活動を受けたグループ (以下テスト群) と受けなかったグループ (以下コントロール群) での健診データを比較することで, 5年間のPTCを主体とした予防活動の効果を検討した。評価法はO'Learyのプラークコントロールレコード (以下PCR), 歯周ポケットの深さ, 一人平均喪失歯数とした。
1) PCRの変化は, テスト群, コントロール群, 共に有意な改善が認められたが, テスト群においてより顕著な改善が認められた。
2) 歯周ポケットの深さの変化は, テスト群では全体的に有意差をもって改善がみられた。コントロール群では前歯小臼歯群で変化がみられなかったが, 大臼歯群においては有意差をもって悪化が認められた。
3) 一人平均喪失歯数は, テスト群で減少の傾向を示したが統計的有意差は認められなかった。
以上のことから, 定期的にPTCを受けることで, 口腔清掃に対するモチベーションを維持し, 歯周ポケットの深さを改善できることが明らかになった。
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