症例は61歳,男性.突然の息切れを主訴に来院.経胸壁心エコー図法にて大動脈右冠尖に可動性の疣贅,僧帽弁前尖の左房側に輝度の低い構造物を認めた.カラードップラーでは重度の大動脈弁閉鎖不全が確認され,感染性心内膜炎に伴う急性大動脈弁閉鎖不全の診断にて緊急入院.経食道心エコー図法では僧帽弁前尖の左房側に突出する約15mm大の弁膜瘤を明瞭に描出.その後,心不全は内科的保存治療にて小康状態になるも,炎症所見が持続するため,入院3週間後に二弁置換術を施行.手術時僧帽弁前尖に22×14mmの弁膜瘤を,大動脈左冠尖にも6×3mmの弁膜瘤を認めた.術前診断には経食道心エコー図法が極めて有効と思われた.
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