金属アルコキシドを原料としたゾル.ゲル法による被膜形成を磁性金属粒子の単核カプセル化に適用し,得られたカプセル粉体を圧縮成形することにより高周波用圧粉鉄心材料を作成した。
個々の金属粒子をゲル状連続膜で被覆するには,0.5μm以下の薄膜を形成することが必要で,1μm以上に厚膜化した部分では割れが生じた。とくに金属粒子表面に大きな凹部が存在すると厚膜化と割れの原因になった。
調整したカプセルから得た成形体の密度はカプセル化していない金属粒子の成形体と同等であり,磁束密度としては磁化力16kA.m
-1で1.2Tが得られた。
また,1MHzを越える周波数帯域まで初透磁率が低下せず,金属粒子間の絶縁が良好であることが確認された。このことから,形成した被膜は圧縮成形時の粒子間摩擦に対してはく離せず,厚膜部分や割れは絶縁効果に大きな影響を与えなかったと判断される。
本実験のカプセル調整により,高周波特性のすぐれた鉄心材料を作成できることがわかった。
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