【目的】尿失禁を経験した自立高齢女性を対象に,尿失禁が他者との交流に及ぼす影響と対処行動を明らかにした。
【方法】60~74歳の地域在住の女性で,尿失禁にて外来通院中の患者のうち尿失禁発症後1年以上経過している者10名に「尿失禁経験後の他者との交流」「尿失禁への対処方法」「尿失禁に対する支援への要望」について半構成的面接を実施した。
【結果】尿失禁が他者との交流に及ぼす影響は社会生活の制限,交流の減少,環境への不安,意欲の低下であり,その背景には対人関係の障壁,援助要請行動への躊躇,安心できる環境の不足の要因があげられた。尿失禁の対処行動は自分でできる予防や対処法,前向きな思考への変換,受診・相談行動であった。
【結論】尿失禁をもつ自立高齢女性が他者との交流を維持するには,自分でできる対処法や環境が重要になるため,セルフケア能力を高める支援と尿失禁に対するスティグマを減らす環境が必要である。
抄録全体を表示