シンポジウム「共同性/協働性/協同性」の発表と議論から、「コミュニティ」と「教育」の課題に接近し考察する。「コミュニティ」とは一体何であり、なぜいま「共同」や「協同」を取りあげる必要があるのか。本シンポジウムが対象とするのは、戦後の「国民の教育権論」(小国氏)、新教育の「<学校=共同体>」(
山名氏
)、近代における「契約」と「経験」(生澤氏)と、位相が異なるものの、従来の近代教育学(あるいは、戦後教育学)とその批判を「相対化」し、オルタナティブな教育の可能性の追究を含む点で示唆的である。それぞれのテーマにおいて、「共同」、「協働」、「協同」は何か異なり、どこが重なりあうのか、「コミュニティ」の中にある対立や抗争、紛争をどう捉え、それを実現することの実際的な困難性や挫折をどのように描き出すのか、近年の市場原理的な新自由主義の改革に対して、「協同」や「協働」、「コミュニティ」がどのように応答していくのかなど、今回の企画によってひらかれた問いは非常に大きなものである。
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