オージェ電子分光装置を用いてアルミニウム又はマグネシウム基板上に金属薄膜を蒸着した試料に対して,膜側から電子線を照射し光電子を測定する実験を行った.十分薄く薄膜を蒸着した基板に対して,薄膜側から電子線を照射すると基板から特性X線が発生し,そのX線により薄膜原子が励起されて光電子が発生する.その結果Al基板上の種々の金属からの光電子スペクトル(Au4f,Ag3d,Mn2p,Bi4f,Bi4d,Cls,Pb4f,Pb4d,Sn3d)を得ることができた.更に試料中で起こる現象を考察し光電子の強度式を提案した.この式を用いて合金試料に対して光電子ピークで定量分析を行った結果,相対感度係数法での定量値と比較的よく一致した.更にMg基板上のCuとCuOに対しては化学シフトとサテライトピークを検出することができた.又,本法での空間分解能は通常のXPS分光器よりも優れていることが分かった.
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