成因ならびに治療上興味のあった慢性膿胸の4例を報告した.
第1例は結核性荒蕪肺に続発したもので,全身状態ならびに肺機能が悪く,開放性排膿術を行ったが失敗した.ドレナージで全身状態が改善したので左肺全摘に踏み切った.術後重篤な呼吸不全に陥ったが,幸運にも救命出来た.
第2例は9年間に亘るsilent empyemaが増悪し,胸膜腫瘍を疑われて来院した.本症例ではその病歴ならびにX線所見から腫瘍は除外出来,肺剥皮術で軽快した.
第3例は特発性血気胸が原因と推定されたが,開胸時には出血部位は確認出来ず,剥皮術と数回の胸腔穿刺で軽快した.
第4例は気管支瘻に対し既に筋肉弁充填と肋骨切除が行われており,遺残腔に炎症を反復したもので,抗生剤とウロキナーゼ製剤による頻回の腔洗滌で軽快せしめ得た.本症例の如く,腔縮小術あるいは開放療法も適応とならないものには,洗滌療法も試みる価値があろう.
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