成人成長ホルモン分泌不全症 (AGHD) 患者は多様な臨床症状と生活の質 (QOL) の低下を呈し, 健康成人と比較して死亡率は約2倍高い. AGHDの後天的原因の多く (視床下部・下垂体腫瘍, 間脳下垂体領域の外科・放射線治療後など) が脳神経外科に関連するため, 的確な診断および重症患者への成長ホルモン (GH) 補充療法が脳神経外科医に求められる. 本稿ではAGHDを疑うべき臨床状況, GH分泌刺激試験による診断, 術前・術後のGH分泌能評価, GH補充療法の特徴, 治療開始時に患者に説明すべき事項などを概説する. 脳神経外科におけるAGHD治療に対するコンセンサスおよび診療科間連携に関するガイドラインの確立が望まれる.
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