比較的薄い親水性の高分子{ポリアクリルアミド(PAA)}膜の中に生体機能物質あるいはこれに関連する物質を含有させ,大別して三つの種類の高分子被覆白金ディスク電極を構成し,これとアセトニトリル(AN)溶液とを組み合わせてセルを構成し,それぞれの系で得られるサイクリックボルタモグラムからそれら電極の機能を検討した.メチルビオロゲンを含むPAA膜電極でその酸化波及び還元波が得られた.チトクローム
c,ヘモグロビン,カタラーゼ及びブレオマイシンのいずれかを含むPAA膜電極では,その種類及び含まれる鉄イオンの電荷の相違によって,酸素の酸化及び還元にかかわる波形に顕著な違いが現れた.NADH及びPQQを含むPAA膜電極ではAN中のシクロヘキサノール濃度に比例した還元波高が得られた.各々の電極で得られた電流ピーク高と電位掃引速度の関係を解析した.その結果これらの系によって生体機能物質が関係する酸化還元や電子移動に関する電気化学的情報が得られること,又,これらの系はセンサー開発のための有効な一方法となり得ることが分かった.
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