症例は44歳,女性.右副腎偶発腫瘍の精査目的で近医より紹介され,2006年7月当院内分泌内科に入院となった.入院2日目,予定の腹部造影CT検査帰室後より,顔面蒼白およびチアノーゼが出現した.モニター装着時には持続性心室頻拍を認め心原性ショックもきたしたことにより,循環器科に対診となった.
挿管,人工呼吸器管理および電気的除細動を繰り返しつつ,心臓カテーテル検査室に搬送した.冠動脈造影では有意狭窄を認めなかった.血行動態を保つ目的でIABPおよびPCPSを装着した.高度の壁運動低下をきたし,心係数は1.3L/分/m2まで落ち込んだが,補助循環や透析療法などの集中治療にて生命を維持し得た.第3病日より心機能は回復を示した.第4病日PCPSから離脱.第5病日IABP抜去.第14病日人工呼吸器から離脱.第24病日には透析から離脱し同日ICUから退室となった.
病態安定後MIBGシンチグラフィにて右副腎の腫瘍に一致して集積の亢進を認めたことにより,褐色細胞腫と診断された.右副腎の摘出術が行われ,病理所見でも褐色細胞腫の診断であった.
今回われわれは副腎の偶発腫瘍精査入院中に心原性ショックで発症し,補助循環を使用することによって救命することができたカテコラミン心筋症を経験し報告した.
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