本論文においては,第一に,政治的保守主義に関する有意な経験的実証研究を行うために,客観的に正当な根拠があると考えうる基準において,政治的保守主義を概念化することを試みる。第二に,先行研究を検討することでアメリカの共和党の保守化を対象にして,政治的保守化という現象の説明可能な三つの競合する理論を提示する。(1)政治的活動家に関する理論:これは共和党の保守化を保守主義の理念を媒介する政治的活動家の活動とそれを媒介する政治制度から説明する。(2)決定的選挙と政党再編に関する理論:この理論によれば共和党の保守化は決定的選挙とそれに伴う再編を通じて生じたものとして説明できる。(3)イシュー・エヴォリューション:これは共和党の保守化を個々の争点領域におけるイシュー・エヴォリューションが長期間にわたって重畳的に蓄積されて生じたものとして説明する。
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