胃切除術によって引き起こされる骨障害について, quantitative computed tomography (QCT) 法を用いて27歳から84歳の胃切除後患者108例 (男65例, 女43例) に計151回のscanを行い, 性別, 年齢層別に切除範囲, 術式, 術後経過期間との関係について検討した.術後経過期間と骨塩量との関係では, 40・50代男性で, また, 40・50代の女性ではそれぞれ術後30か月 (2.5年) 未満, 50か月 (4.2年) 未満において統計学的に有意な負の相関を示した.骨塩量低値を示す症例の頻度は男女とも40・50代で高かった.術式別では, 男性では胃部分切除の方が胃全摘に比べて骨塩量低値例が多く, 女性では胃全摘症例に多かった.B-I, B-II法の間に有意な差はみられなかった.骨塩量変動速度 {骨塩量の変動率 (%) /経過期間 (月)} を求めると, 男性に比べ女性での低下速度が大きいが, 男女とも術後2年未満に比べて2年以上では低下速度の鈍化がみられた.
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