目的: 小学校, 中学校, 高等学校の養護教諭に対して, パーソナル・コンピュータ (以下, パソコン) 利用に関する質問紙調査を行い, 今後の支援システムとしてパソコン活用に役立つことを目的として研究を進めた.
方法: 調査内容は, 学校保健活動や学校歯科保健指導でのパソコン利用の有無, 利用の仕方と場面, 指導内容と教材, 指導のための情報源などである.さらにパソコン利用についての自由記述欄を設けた.総計940校を対象とし, 回収は557校 (59.3%) であった.
結果: 学校保健でのパソコン利用は, 小学校で全回答者の55.3%, 中学校で69.5%, 高等学校で76.9%が「利用している」であった.利用しない理由としては, 「難しくて扱えない」が最も多かった.利用内容は, 各校とも「ワープロ」, 「健診データ入力や個別指導利用」, 「図表化した掲示物」が多くみられ, 場面としては「健康啓発用資料」, 「個別指導」に多くみられた.
学校歯科保健でのパソコン利用は, 小学校で全回答者の25.5%, 中学校で30.5%, 高等学校で53.7%が「利用している」であった.しかし, 各校ともパソコンを利用した歯科保健指導はほとんどみられなかった.歯科指導の内容については, 「う歯や歯周疾患の原因」, 「ブラッシングやプラークコントロール」が多くみられた.指導のための教材としては, 「読む教材」, 「見る教材」が多く, さらに小学校では「映像教材」が利用されていた.また, 情報源として「ホームページ」を利用しているものは少なかった.
結論: 今回の調査では, 養護教諭による保健指導での教材化や情報源としてのパソコン利用は少なかったが, パソコンの台数, ソフト, 指導者などの使用環境の不備も明らかになった.一方, パソコンを有用な教育支援機器として積極的に利用したいとしている潜在的ニーズが多いことも確認された.
〔日健教誌2004; 12 (1) : 49-59〕
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