我々は, 永久歯の小窩裂溝齲蝕予防手段として臨床的に広く応用されているシーラントが1 . 第二乳臼歯に対して有効であるか否か検討するため, 裂溝清掃にG K - 1 0 1 液を併用し臨床成績を追跡するとともに,2.シーラントの填塞の有効性を年齢的要素から検討するため仙台市北地区内保育園児の齲蝕のフィールド調査を行い, 以下の結果を得た。
1)臨床研究の被検歯は,小児患者66名(平均年齢3歳11カ月)の上下顎第二乳臼歯180歯で,このうち3カ月以上経過した151歯を対象歯とした。観察期間は最短1カ月から最長23カ月,Full retention,脱落症例の平均経過月数は各々12.4カ月と6.9カ月であった。
2)第二乳臼歯のシーラントの保持率は,Full retention 123歯(81.5%),Partial retention28歯(18.5%)であった。
3)脱落原因として乳歯の裂溝形態の単純性,酸エッチングの不良等が考えられた。
4)GK-101液を用いた結果,裂溝内の清掃性の向上と共に保持率を高めることができた。
5)シーラント辺縁部からの新たな齲蝕の発生はなかった。
6)齲蝕罹患状況のフィールド調査より第二乳臼歯のシーラント適応時期が明らかになった。適応時期としてはラバーダム防湿処置が可能となる時から,3歳迄とするのが望ましい。
7)シーラントはあくまでも咬合面小窩裂溝の齲蝕予防を目的としたもので,隣接面齲蝕は予防できないということを忘れてはならない
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