本研究は長岡市と松本市を対象に、1970~2015年の3時点のDID内における食料品小売店と公共交通網の変容を明らかにすることを目的とする。分析には3時点の人口を割り当てた100mメッシュの重心から食料品小売店までの距離及び公共交通乗り場までの距離を用いた。分析の結果、公共交通網は中心駅から拡がる放射状ネットワークを、1970年から現在まで維持していた。食料品小売店はスーパーを含めて1990年から減少傾向にある。1970年DID内や1990年DID内では、DID形成当初に比べて、徒歩だけで生鮮三品を購入できない居住者が増加した。現在、自家用車に頼らず生鮮三品を購入できる地域は大型化したスーパーの周辺に限られる。集約型都市構造を目指す上で、こうした生活環境の変化を住民が経験したことへの配慮が望まれる。
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