症例は44歳, 男性. 呼吸困難と持続する多量の喀痰を主訴として来院した. 胸部レ線上, 両側の過膨張及び両肺びまん性の小粒状影と右下肺野に tram line を認め, 呼吸機能検査では, 混合性換気障害を示した. 入院後, 呼吸困難は速やかに改善するも, 多量の喀痰と閉塞性換気障害は持続した. 帰宅による環境誘発試験陽性にて過敏性肺臓炎が最も強く疑われたが, 胸部レ線所見, 多量の喀痰, 遷延する閉塞性換気障害, IgE高値, 末梢血好酸球増多等, 特異な所見を数多く認めたため, びまん性汎細気管支炎や気管支喘息を鑑別する目的で, 開胸肺生検を施行した. 生検組織像は高度の細気管支上皮障害を伴ってはいるものの, 肉芽腫性の細気管支胞隔炎を呈し, 過敏性肺臓炎に合致する所見であった. 多量の喀痰は過敏性肺臓炎としては, 極めて稀な臨床症状であるが, 高度の上皮障害を伴う細気管支病変と過敏性肺臓炎に伴ったと思われる気管支炎がその主要な原因であろうと推測した.
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