第1に, 1989年夏と1990年冬に, 新潟県下20市 (県人口の68.3パーセントが在住) 26地点の水道水中のトリハロメタン (THMs) 量を測定し, 新潟県のTHMsの水準を明らかにした。THMsの量を原水・浄水方式・塩素注入点の違いにより整理したところ, (急速濾過で前塩素処理) > (急速濾過で中・後塩素処理) > (緩速濾過・消毒のみ) , の関係が明瞭に成立つことがわかった。また地下水を原水とし, THMs量の少ない五泉市と村上市の水道が, 有機溶剤によって継続的に汚染されていることが見い出された。このほか, THMs量と原水水質の関係, THMs構成物質の特性, 測定指標相互の関係等が検討された。
第2に, 同じ時期に, 新潟市内の水道水中のTHMs量を測定した (夏26地点, 冬8地点, 5浄水場は全て急速濾過) 。汚濁が進む信濃川系の浄水場の水の方が, 阿賀野川系よりTHMs量は多かった。同じ水源でも, 浄水場の機能によってTHMs量は異なった。プロモホルムは阿賀野川系の水道水のみに見い出された。浄水場から離れるに従いTHMs量は増加した。そのほか, THMs量と塩素注入量・残留塩素量との関係が検討された。
抄録全体を表示