本研究では,懸濁物質(SS)及び溶解成分を同時除去できる簡易なハイブリッドろ過法の開発を目的として,沈殿汚泥層をろ床として利用したSS除去の高度処理における汚泥層の安定性とSS除去率および阻止粒子径に対する操作条件の影響観点から除去特性について実験的に検討した。また,ろ過装置に脱窒菌固定化電極を設置してSS除去に併せて硝酸生窒素(NO
3-N)の除去特性についても検討した。その結果,沈殿汚泥層をろ床として,ろ過速度およそ5~15m・d
-1,汚泥床の厚さ1~20cmにおいて,汚泥床の圧力損失は0~34cm-H
2O程度で,粒子径5μm以上のSSは高効率で除去できた。また,脱窒細菌を固定した多孔質担体層に,電極を設置して電解水素を供給した結果,処理水中のNO3-Nは確実に除去され,脱窒速度は電流密度0.76mA・cm
-2で0 .036mg-N・mg-SS
-1・d
-1であり,SSとNO
3-Nが同時除去できた。したがって,本法により,緩速砂ろ過法のバイオフィルターの機能を持ちながら,ろ床のろ過抵抗が小さいため,緩速砂ろ過法と比べて大きなろ過速度で,粒子径5μmの微小粒子まで除去と同時にNO
3-Nも脱窒除去が可能であると考えられる。
抄録全体を表示