本研究は,道徳の授業において小学校2年生を対象に開発した「自分と家族について考える死に関する学習プログラム」を,小学校4年生の5クラスで取り組んだ授業実践である。授業実践の検証に当たっては,1. 児童の学習後における振り返り文の分析 2. 学習前後のアンケートによる学習プログラムの学習効果の検証 3. 学年として取り組むことへの授業者の省察 の3点から考察した。授業の振り返りで194名中125名の児童が「命や家族,今生きていることの大切さ」について書いていたことから,4年生での学習プログラム実践は可能であるといえる。次にアンケートの分析の結果,「家族の死」「自分の死」と学習との関連が有意であった。学習前後による自分と家族とのセルフエスティームを測定した結果,学習後の家族の自尊心(セルフエスティーム)の平均値がわずかに高くなっていた。5名の授業者の省察から,学習プログラムについて概ね良好という評価を得るとともに,授業における経験差の差異は見られず,死に関する学習プログラムは学年で実施可能と考える。
抄録全体を表示