EC(電気伝導度)は,電解質の総量を示す指標となる.天然水の河川水中におけるECの目安は,河川上流では50~100 μ S/cm,河川下流では200~400 μ S/cmとされており,簡便に計測できることから市民団体による水環境調査等でも活用されている.日本や世界の多様なフィールドにおけるEC計測値は,日本で10~6,000 μ S/cm,スウェーデンの対象の河川では21~509 μ S/cm,キルギスのイシク湖集水域で116~840 μ S/cmとなった.また,ECの変動係数を算出したところ,自然環境の変化や,人為的影響が大きい地域では,変動係数が高いことがわかった.このように,河川のECは地域の水環境を概観し,水環境上の課題を明らかにするための手助けとなるため,今後もECを活用し,水環境や水質に関わる議論を行っていく必要がある.
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