簡易設置型パッドアンドファンを利用した育苗装置「作物育成システム」を開発し,端境期におけるトマトの産地間連携による技術体系の開発と実証を行った.所内試験では本システムの大きさと枠内の苗の配置を検討し,簡易PF1 台あたりの冷却域は幅0.9m,長さ5.4m,底面積にして4.86m2,苗の配置は条間15cm の6 条,株間20cm の千鳥で,1本・300cm-2 と確定した.本システム内の気温は約30℃で,その昇温抑制効果によって定植後の減収が回避された.さらに,中山間地に位置するトマト生産農家の育苗施設に導入した本システムで2 次育苗した苗を,平坦地に位置するトマト生産法人のガラス温室に定植して抑制栽培を行った.その結果,中山間地の2 次育苗に本システムによる冷却処理を加えることで減収が回避された.本研究の結果より,標高の異なる産地間で苗を供給する技術体系がトマトの安定生産に有効であると考えられた.
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