消費者教育推進法施行から5年余が経過するなか,消費者市民社会の担い手を育むための多様な消費者教育が展開されている。筆者らは,これまで,さまざまな「こどものまち」が消費者教育に有効であることを検証してきたが,本研究では,消費者市民の育成を目的にスタートした「なごやHAPPYタウン」について,従来型のこどものまちと比較しながら,特徴や有効性,今後の課題を明らかにすることにした。消費者市民育成型こどものまち「なごやHAPPYタウン」の特徴を従来型こどものまち「なごや☆子どもCity」と比較した結果,「なごやHAPPYタウン」には,専門家による企画運営組織,通貨に代わるポイント制,学習による稼得,多様なエシカル消費,こどものまちとリアルな市場とのつながりなどの点において特徴があった。また,その他の従来型のこどものまちに比べ「消費がもつ影響力の理解」や「持続可能な消費の実践」などの教育効果が高いことも明らかとなった。さらに,これらを踏まえた今後のまちの課題として,通貨の導入や「はたらく」機会の増加・充実,こどもたちのまちづくりへの主体的な参画や「批判的思考」を高める仕掛けの設定などを掲げることができた。
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