本研究では、特別な配慮が必要な児童を含む小学3年生の通常の学級の担任に対して、行動コンサルテーションを実施した。本学級では、対象児を中心に、複数の児童において私語が多くみられた。そこで、コンサルテーションでは、手続き作成シートをもとに、担任を含めた教師らとの協議を通して、対象児の私語の機能を同定し、教師の意見を積極的に取り入れながら機能に基づいたクラスワイドな支援の計画を立案した。授業の振り返りでは、授業の録画や児童の行動変化を示すグラフを用いて、担任の支援行動と児童の変容との関連をフィードバックした。その結果、対象児の行動変容が確認され、担任はクラスワイドな支援を一貫して実施し、計画した内容以外の関連した支援を実施するようになった。以上のことから、クラスワイドな支援の実施において、ツールをもとに教師が計画立案に参画する協議、授業に関するモニタリング、校内の教師を含めた他者からの肯定的なフィードバックは、教師の主体的な取り組みを促すと考えられた。
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