本研究は,生活と芸術との関係をつくる協働的な芸術的行為を,現代芸術におけるアート実 践の性質と特性から定義し,芸術的行為に媒介された共感的対話の生成過程を社会的相互行為 の創造過程と位置づけ明らかにすることを目的とした。まず,社会的相互行為を創造するア ート実践に関連した現代芸術の11の様式の概観に基づき協働的な芸術的行為を定義した。次 に,これを事例分析の視点として,砂浜をつくり変える協働的な芸術的行為において,掘った 穴から現れた幼虫を契機に,人間と幼虫が共生する共感的対話が生成され,行為者たちの社会 的相互行為として創造されたことを,事例の相互行為分析と記録断片の記述分析により明らか にした。
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