乳牛を2頭づつ飼料給与水準の異る5区にわけて分娩泌乳を含む1年間,概ね毎月1回24時間尿を採取して全窒素排泄量,クレアチニン,Reducing Corticoids,17-ketosteroidsを定量した.
1. クレアチニン排泄量は栄養のよい区が有意に多く,季節的変化は有意でなく個体の排泄量は安定している.
2. Reducing Corticoidsの全排泄量は栄養のよい区が多く,栄養の差が大きい区間には有意差がみられたが,クレアチニン比では有意差がなかった.季節的変化では全排泄量,クレアチニン比とも夏季有意に高い.
3. 17-ketosteroidsの全排泄量,クレアチニン比ともRecincing Cortacoidsと同じ傾向を示した.季節的変化では夏に高い傾向があるが有意ではなかつた.クレアチニン比ではラジノクローバー繋牧区が有意に高かった.
4. 低蛋白区では一般栄養状態の低下,体重の減少,著明な乳量減少,乳期の短縮が起り,分娩後の発情は鈍姓発情から無発情,卵巣萎縮となつた.しかしReducing Corticoids, 17-ketosteroidsの尿中排泄状況とTHORNの試験の結果から副腎皮質機能は正常であつたと考えられる.
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