当院は,夜間・休日に救急外来を受診したが,再受診のない患者の診療録と画像の全例チェックを,翌診療日に救急部が行い,問題症例をレビューしている。2007年4月から2010年3月の3年間の,夜間・休日の全救急外来受診患者は39,683例で,レビューは16,367例(41.2%)に施行され,そのうち問題症例は702例(1.8%)であった。消化器に関連する腹部救急疾患は104例(レビュー問題症例の14.8%)と最も多く,その要因は,画像診断(読影)に問題があるものが45例(43.3%)と高い割合であった。緊急性が高く,患者を呼び出した症例が5例(上腸間膜動脈解離,腹腔動脈瘤,急性閉塞性化膿性胆管炎,閉塞性大腸炎,虫垂腫瘍)で,緊急性はないが再診が必要と判断した12例は,患者に連絡して再診の指示を行うことで,アクシデントは1例も認めなかった。これらの患者対応を要した症例の17例中15例(88.2%)が,画像診断(読影)の問題であった。救急外来では,MDCT(multi‐detector row computed tomograhy)の普及により,精度の高い画像診断能力が要求され,専門医による早い段階でのダブルチェックは重要である。
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