【要旨】閉塞性動脈硬化症を合併し,下肢からのIAB挿入困難なPCI症例に上腕動脈より東海メディカルプロダクツ社製7FrロングタイプIAB(L-IAB)を使用する経験をした。そこで,L-IABの上腕動脈挿入時において固定する腕の曲角度がL-IABの応答性に影響を及ぼすかを確認するため,上腕動脈挿入を模した治具を用い実験的検討を行った。曲角度0゜での拡張時間は111msec,収縮時間は115msec,曲角度30゜での拡張時間は111msec,収縮時間は114mesc,曲角度60゜での拡張時間は113msec,収縮時間は115mesc,90゜ での拡張時間は,115msec収縮時間は118msecとなり,応答性への影響はなかった。また,この症例では左鎖骨下動脈から大動脈弓部開口部の角度がきつく,体位変換時にアラームが鳴りIABPが停止する現象が見られたが,ガス流入出路断面積が約55%開存していたため安静時は問題なく動作した。これらのことから,鎖骨下動脈から大動脈弓部開口部に強い屈曲がある患者に使用する際は注意する必要があるが,腕の固定角度による影響を受けにくく,上腕動脈挿入に際し有用と考えられる。
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