【はじめに】非転位型大腿骨頸部骨折に対して当院で骨接合術を施行した症例の治療成績を検討した.【対象と方法】2007年3月から2016年12月までに当院で骨接合術を施行した非転位型大腿骨頚部骨折の症例のうち,術後3ヶ月以上経過観察が可能であった72例を対象とした.男性13例,女性59例,平均年齢は73.5歳,GardenⅠ型:22例,Ⅱ型:50例であった.合併症を調査し,合併症を来した症例については固定材料,GAI(Garden Alignment Index)の項目で比較検討を行った.【結果】合併症は骨頭壊死:10例(13.4%),偽関節・遷延癒合:5例(6.9%),転子下骨折:2例(2.8%)であった.転子下骨折を来した2例では正面GAI値が有意に小さかった.偽関節・遷延癒合を来した5例では正面GAI値が有意に大きく,側面GAI値は小さい傾向が見られた.【考察】頚体角が小さい場合は転子下骨折の危険性が増す可能性がある.転位が大きい場合は不安定性を考慮し,より強固な固定や整復操作を考慮すべきと考えた.
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