本稿では、観光経済学の定義と方法論を概説し、日本において観光の経済学研究が本格化し始めた1990年代以降の研究成果についてサーベイを行う。第II節では、観光経済学の定義とその守備範囲を検討する。観光の経済学の段階では、観光経済学独自の分析ツールや方法論があるわけではない。分析ツールはミクロ・マクロ経済学の範囲内にもっぱら納まっている。観光経済学という1つの独立した分野を確立するためには、観光現象に対する独自の経済分析的視点・分析ツールの確立が必要である。そのためには、観光アメニティが重要なキーワードであり、観光に特有な経済的性質を考慮した分析が必要である。第III節では、観光経済学の研究成果を8つの分野に分けてサーベイする。第IV節では、残された観光経済学の課題をまとめて、結びとする。
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