本研究は,数学と現実世界との関係に着目した「社会的文脈」に焦点をあてた数学指導について検討するものである。これは「数学的モデル化」に関係しており,数学教育研究の重要な着眼点であるが,筆者らは,「算数・数学と社会・文化のつながり」研究(長崎,2001)から多くの示唆が得られるのではないかと考えた。この研究で開発された教材を「算数・数学と社会をつなげる力」や「教材の問題場面」から検討したところ,このような教材は生徒の身のまわりの事象から開発できる一方で,自然現象やスポーツといった科学や社会に目を向けることも重要であることがわかった。また,このような題材は,新聞記事などを参考につくられているものも多くあり,教材開発では,幅広い視点から検討することが大切であると考えられる。
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