新経口セファロスポリン系抗生物質Cefaclorについて基礎的臨床的検討をおこなった。
抗菌スペクトルはCEXとCFTの中間に位置し類似の抗菌スペクトルを示した。
病巣由来株の感受性は黄色ブ菌ではCEX, CEDより1~2段階優れ, CFTよりは1段階劣る。大腸菌ではCFTと同等, CEX, CED, CET, CEPより多少優れている。肺炎桿菌, インドール陰性変形菌に対しては現在臨床使用可能のセファロスポリン系薬剤のうち最も優れた感受性を示した。
血中および尿中濃度について500mg早朝空腹時投与の成績では, 投与後30分で血清中濃度はピークとなり平均9.05μg/mlを示した。尿中濃度は1時間でピークとなり平均3,790μg/ml, 6時間迄の平均尿中回収率は72.8%であった。
Phatmacekineticsに関しcomputerにて解析した。Ka (hr
-1) は4.36, Kel (hr
-1) は0.709, Vd (L) は39.04, T1/2は58.66分, t-max (hr) は0.5, C-max (μg/ml) は9.00の値を得た。
TLCを用いた生体内代謝の実験では, 本物質以外に抗菌活性のある代謝物を認めた。
臓器内濃度に関しては20mg/kg SD系ラットに投与した結果, 腎, 血清, 脾, 肺, 心, 肝, 筋肉の順であり脳には移行しない。
外科系感染症33例に本剤を使用し30例有効 (有効率90.9%), 3例無効であった。副作用は1例に本剤投与終了後に発疹を認あたが, 本剤との因果関係は不明である。
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