近年、身近な水路の親水性向上や水環境整備に対する住民ニーズはますます高くなり、環境用水の導入を目指す動きが各地で起こりつつある。しかし、許可水利権の取得に際しては、水源を含む地域の地理的自然的特性、水路等の物的条件、地域住民の意向、歴史的経緯など諸種の条件整備と、そのための問題解決が必要となる。本研究では、2009年6月に地域用水の許可水利権を取得した、滋賀県近江八幡市小田町の事例に着目し、同市内において地域用水の水利権を放棄した江頭町との比較を交えつつ、地域用水導入のための諸条件と課題について実証的な分析を行った。その結果、地域用水導入のためには、地元住民の権利取得に対する意向、過去の取水実態届出書の記載事項、現在の利用実態、集落からの水源の距離、河川流況などが、水利権取得に向けた諸条件として、重要な要素になることを明らかにした。
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