細根は樹木根の先端部であり、一般に直径2mm以下とされる。細根は生産と枯死のサイクルが短いため、森林生態系の炭素循環に重要な役割を果たしている。そのため細根の生産と枯死の時間的な変化を把握することが重要だが、このような研究では生根と枯死根の判別が各研究者の主観的な判断によってなされており、その判断基準は研究者ごとに差異がある。本研究では、判別の個人差を評価し、どのようなサンプルが生根や枯死根と判別されやすいのかを明らかにすることを目的にした。
調査は北海道大学苫小牧研究林で2回行い、2019年はカラマツ林、2020年はヒノキ林で細根を採取した。サンプルには当
日樹
木から採取した細根と、事前に根元を切断して地中に埋めておいた細根を用いた。切断は2週間前から1年前まで5段階で行った。それぞれのサンプルについて、細根研究歴のある10~14人の参加者が生根か枯死根かを判定し、判定基準とともにアンケートした。
調査の結果、切断からの期間が長いほど枯死と判定される細根の割合が増えることがわかった。また、カラマツ細根では細根の色が判断基準として多く用いられ、ヒノキでは色・構造・弾力性が複合的に用いられることが多かった。
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