芝棟に関する既往研究を整理し,現地調査により,芝棟の現存状況と芝棟植物の分布特性が明らかとなった.芝棟は,岩手・青森県を中心とした東日本に約600棟が現存しており,そのうちの9割は岩手県に現存している.岩手・青森県を除く都府県では,芝棟の多くが文化財等に指定され,保存されていた.しかし,文化財等に指定されている建造物であっても,芝棟を維持できなくなっているものもあった.芝棟植物の分布については,シバは芝棟が分布する全地域に見られ,東北地方太平洋側と内陸山間部では,ユリ・カンゾウ・ネギ・ニラが,関東平野部ではイチハツが,関東山地周辺ではイワヒバが多く見られた.
抄録全体を表示