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クエリ検索: "暗くなるまでこの恋を"
1件中 1-1の結果を表示しています
  • 安部 孝典
    映像学
    2020年 104 巻 179-197
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2020/08/25
    ジャーナル フリー

    フランソワ・トリュフォーの映画で描かれる人物の死は、写真や肖像画のような不動化されたイメージとしばしば関連づけられ論じられてきた。しかし、トリュフォー作品に見られる死のイメージは静的なイメージだけではなく、ある種の運動状態にあるイメージとも結びつく。本稿は、機械的な動きに代表される動的なイメージが人物をさらに死へと駆り立てる場合があることに注目して、トリュフォー映画における死のイメージを再考するものである。

    まず、先行研究を追いながら、写真撮影が人物の死を導く場合に写真の不動性が死の不動性と結びつく例と、そうした写真に宿る死の不吉さをふり払うものとしての蝋燭の炎の例をそれぞれ確認する。また、さらなる不吉さを写真に与える行為としての、写真の切断によるフレーミングの多重化について考察する。

    つづいて、不動性と死という従来のトリュフォー映画の死のイメージの図式を拡張するために、写真以外のモチーフと死が結びつく例を分析する。具体的には、第二のフレームとしての鏡と、人物の擬似的な彫像化の関係について、イメージの二重化というキーワードを基に検証する。

    最後に、無重力状態からの落下という運動を手がかりに、動きのあるイメージに導かれる人物の死という新たな観点を提示する。また、そうした可動性が死と結びつく例をさらに敷衍して、回転するイメージにおける機械的な自動性について考察する。

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