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クエリ検索: "月刊やさい通信"
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  • ~NHKテレビの災害報道を題材にした一考察~
    近藤 誠司, 矢守 克也, 奥村 与志弘
    災害情報
    2011年 9 巻 60-71
    発行日: 2011年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    2010年2月末に発生したチリ地震津波では、人々はマスメディアの情報をもとに対応することを迫られた。しかし、避難率は低調に終わり、「情報あれど避難せず」という課題がまたも浮きぼりとなった。本研究では、本事例を、「これは迅速な避難が要請される事態である」という社会的なリアリティがメディア・イベントとして社会的に構築される過程として捉え直した。その上で、メディア・イベントの中核となるマスメディア報道を分析するとともに、社会的なリアリティ構築に関与する多様なリアリティ・ステイクホルダーを対象とした聞き取り調査も実施した。その結果、人々に迅速な津波避難を促す社会的なリアリティの構築を阻害する要因があったことがわかった。第1に、津波来襲という社会的なリアリティを構築するメディア・イベントが、別のメディア・イベントと競合していた。第2に、本来、メディア・イベントの重要な一角を占めるべき避難対象住民のテレビの画面上でのプレゼンスが小さく、当事者として組み込まれている程度が低かった。第3に、災害の全体像を鳥瞰する情報は詳細に報道され、津波来襲はナショナルな総体的メディア・イベントとしては成立していたが、異なる地域性のもとで実際に避難する地域住民が「われわれ自身が避難を行うべき当事者だ」との社会的なリアリティを構築できるほどローカルにも豊かに分化したメディア・イベントには至っていなかった。

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