これまで,ハクチョウゲアブラムシはワタアブラムシの夏季矮小型と考えられていたが,ワタアブラムシの有翅胎生雌虫(春季移住虫)をハクチョウゲに移す実験と詳細な形態観察により,両種は別種であることが判明した.ワタアブラムシの移住実験と野外観察の結果,ワタアブラムシのハクチョウゲへの寄生性は低いと考えられた.また,両種は,無翅胎生雌虫の頭部前縁の形態,有翅胎生雌虫の触角第3節の二次感覚板数,両モルフに共通した特徴として,触角先端節鞭状部と同節基部との比,口吻末端節と後脚付節第2節との比などの特徴から総合的に判断することにより識別が可能であった.ハクチョウゲアブラムシは非移住型で,横浜市においては不完全生活環を営むアブラムシと考えられた.
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