症例1は,在胎31週,生下時体重916g,Apgar score 2点の女児で,腹部膨満と腹部レ線写真で鏡面像を認めたため,生後1日目に緊急手術をおこない meconium disease の診断で回腸瘻を造設した.しかし,術後3日目より1日80gの胃内出血をきたし,腹部レ線写真では拡張した胃泡像を認めた.患児はDICを併発し,術後13日目に死亡した.剖検では胃弯隆部大弯側後壁に20X20mmの漿膜筋層欠損部と同部の粘膜面には,凝血塊が付着していた.症例2は,在胎38週,生下時体重3240g,正常分娩の男児で,生後20時間頃より新鮮血を吐血し,軽度腹部膨満を認めた.腹部レ線写真で拡張した胃泡像と胃弯隆部大弯側に憩室状の膨隆を認めたため,切迫胃破裂を疑い緊急手術を行った.胃体上部から弯隆部前壁大弯側に漿膜筋層の断裂と粘膜下層の憩室状膨隆を認めた.同部粘膜の部分切除後,全層一層縫合を行い救命し得た.本症の臨床像と原因について,若干の検討を加えた.
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