電力中央研究所は, 関係諸機関の協力のもとに広域的な観測網を展開し, 1987年10月から足かけ10年にわたって東アジアの酸性雨の調査を行った。観測データをもとに, 降水成分の湿性沈着量, 硫黄化合物の収支, 降水組成の季節変化と経年変化, 東アジアの降水化学などの解析を行うとともに, 長距離輸送モデルの検証を進めてきた。
本論文は既往の研究成果をふまえて, 降水成分の濃度と湿性沈着量の地理分布, 季節変化, 経年変化を解析し, 観測の立場から東アジアの酸性雨について総合的な考察を加えたものである。
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