昨今,障害者の運転再開や運転免許取得など,自動車運転支援の取り組みが,自動車教習所(以下,教習所)で徐々にではあるが始まってきている.
発達障害者の免許取得支援としては,2018年に全日本指定自動車教習所協会連合会(以下,全指連)が,全国の教習所に『発達障害者の教習支援マニュアル』を配布している.また,「つばさプラン」と名付けられた発達障害者向けの自動車運転免許教習サービス(栗村,2015)により,発達障害者の運転免許取得の支援に取り組む教習所も存在するが,現状は,発達障害者が全国どこでも,運転免許取得の教習を受講可能な状況では無い.
教習所における障害者の受け入れや実態については,身体障害者(川口,2000),聴覚障害者(徳田・水野,2000),知的障害者(伊保・田中,2008)の教習受け入れに関する調査研究から,行政対応や支援体制の問題,教習所の設備など環境の問題,教習所における専門家の不在など,多様な課題が挙げられており,発展途上であることが指摘されている.
発達障害者の教習については,全指連が教習所の積極的な受け入れを推進しているが,実際に受け入れる現場の教習所職員が,発達障害者の教習についてどのような意識を持っているか,また,どのような受け入れの現状や実態であるかを調査する研究は見当たらない.
そこで本研究では,教習所における発達障害者に対する運転免許取得支援の取り組みに向けて,教習に携わる教習資格を保有する教習所職員を対象に,発達障害者の運転免許取得や教習に関し質問紙調査を実施し,発達障害者の教習実態や,職員の意識を把握することを目的とする.
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