本論文は、小学校高学年における主体的・対話的で深い学びの実現を目指した2年間の実践研究である。主体的な学びのために、道徳の学びの連続性と蓄積を意識させる学習の節目を設定して、道徳学習のよさや意義を感じさせ、自分の成長を実感させるなどをした。また、2年間の授業は問題解決的な学習を基本とし、「問題設定」「追求」「解決」の問題追求のプロセスを重視した授業を行い、児童の問題意識に根差した学習を展開した。対話的な学びのために、児童の対話を重視し、ペアでの対話、少人数での話合い、全体での共有を毎時間工夫した。また、保護者や地域の人との対話、先哲との対話である教材も折を見て開発、実践した。2年間の実践を経て、第5学年当初と第6学年の卒業前で、道徳授業に関する意識調査を行った。結果、「道徳授業が好き」「道徳授業は役に立つと思う」の平均点数が向上した。結果のT検定では、共に有意差が見られた。
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