群馬県甘楽町小幡地区には,生活用水や庭園の泉水として利用されてきた雄川堰小堰と呼ばれる小水路網が,分流と合流を繰り返しながら網目状に張り巡らされ,これが地域の歴史的風致の中核をなしている.本研究では,小幡地区の歴史的風致の維持向上に資するよう,現地調査に基づき小堰の現況と全体像を明らかにするとともに,絵図等の史料分析に基づき水路網の変遷過程を解明した.さらに,小幡地区住民等へのアンケート調査及びヒアリング調査の結果に基づき,小堰の利用及び管理の現状及び変遷を把握した.そのうえで,これらの分析結果を踏まえ,小堰の歴史的価値について考察した.こうした研究成果は,今後の小堰の適切な維持管理とともに,甘楽町の歴史的風致の維持向上に資する有益な成果であると考える.
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