症例は51歳,男性。3日前から次第に増悪する右下腹部痛を主訴に救急外来を受診した。腹部造影CT所見から穿孔性虫垂炎と診断し,緊急手術を施行した。虫垂と考えた腸管を摘出して粘膜面と漿膜面を観察したところ穿通と穿孔を認めた。手術標本の病理組織学的所見から,虫垂として摘出した腸管は大腸の病理組織に合致しており,本来の虫垂は瘢痕化してその近傍の腸間膜内に存在していた。したがって,虫垂として摘出した腸管は重複腸管であり,大腸重複症と診断した。大腸重複症の報告例は少なく,自験例のように穿孔と穿通を同時に伴っている症例はまれである。盲腸における大腸重複症の場合,炎症を伴うと虫垂炎との鑑別が困難であり注意が必要と考えられた。
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