(1) 理研製清水式電位計に細工をして携帯用電位計とし,空中電位傾度が測れるようにした.
(2) これで昭和22年8月と同23年1月に富士山頂, 5合5勺,太郎坊,御殿場で,それぞれ2, 3日ずつ空中電位傾度の觀測を行つた.
(3) 電位傾度の平均値についていえば,御殿場や太郎坊は他の平地の觀測結果と同程度のものである.しかし山頂や5合5勺の値は非常に大きい.
(4) 御殿場の電位傾度日變化は普通の陸地における觀測結果と同様,朝と夕方に極大のある復振動である.太郎坊では1日中ほとんど變化がない.山頂と5合5勺では晝間に大きくて夜間に小さい.
(5) 山頂や5合5勺で晝間に電位傾度が増すのは,谷風で核の數の多い導電度の惡い室氣が下から上つて來るためと考えられる.夜間はこの反對である.
終りに臨み夏冬とも同行されて御援助をうけた大田正次氏,及び觀測に當つて色々御便宜をうけた富士山觀測所長藤村郁雄氏並に同所員の方々,同御殿場事務所長竹井久造氏並に同所員の方々に厚く感謝の意を表わす
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