大腸癌のリンパ節転移診断において, 病理組織学的診断と分子
生物学
的診断の転移検出率にどの程度の差があるのか, 手術症例36例, 郭清リンパ節72個を対象として, 肉眼的に転移なしと診断した郭清リンパ節のそれぞれ1個を2等分し, 一方を病理組織学的診断 (連続切片のHE
染色
とCK20免疫
染色
) に他方を分子
生物学
的診断 (MASA法) に供して比較検討した。また, 両診断法における1検体あたりのコストを算出した。両診断法の転移検出率に有意差はなかった。また, 分子
生物学
的診断の方が有意にコストが高かった。診断結果不一致例3例のうち2例が分子
生物学
的診断ではstageが上昇した。より厳密なリンパ節転移診断には両診断法の結果を併せて評価することが望ましい。分子
生物学
的診断は, コスト・実用化の面で難点があるが, 条件によっては病理組織学的診断より鋭敏であり, 今後の発展が期待される。
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