人間と機械の間の新たなインターフェースとして知的な対話システムの実現が期待されている.知的な対話システムは対話中の話者の内部状態を推測し,その結果に応じて適切に応答を変更する必要がある.本研究では映画推薦対話を具体例として,対話中の話者内部状態のモデル化とその話者内部状態を踏まえて応答を変更する対話システムの構築に取り組む.映画推薦をドメインとした対話システムを構築し,対話収集を行う.収集した対話データの分析に基づき,話者内部状態を話題に関する知識の有無,話題への興味の有無,対話意欲の有無の3つの軸でモデル化する.モデル化した話者内部状態を収集した対話データにアノテートし,これを学習データとして話者内部状態の自動推定を行った結果,高い推定精度を達成した.また,各話者内部状態に応じてシステムの応答を変更するルールを設計する.学習した話者内部状態推定器を用いて各話者内部状態を判定し,対話システムの応答を変更することでシステム発話の自然さが向上することを対話単位での評価と発話単位での評価の両方で確認した.
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