1992年度に引き続き1994年度に全国16施設において種々の臨床材料から分離された好気性グラム陽性球菌16菌種, 803株について各種抗菌薬31種類を用いて寒天平板希釈法でMICを測定し抗菌力の比較等の検討を行った。
Staphylococcus aureusのなかでメチシリン耐性
S. aureus (MRSA) の占める割合は50.4%であり, 1992年度の58.1%よりわずかながら減少していた。これらMRSAに対し優れた抗菌力を示したのはvancomycin (VCM), arbekacin (ABK) とsulfamethoxazole-trimethoprim (ST) でMIC
90は1.56μg/ml以下であった。
Staphylococcus epidermidisに対してはVCM, ABK, minocycline, cephalothinが優れた抗菌力 (MIC
90≦1.56μg/ml) を示した。
Streptococcus pyogenes, Streptococcus agalactiaeに対してはβ-ラクタム薬等各薬剤とも良好な抗菌力を示した。
Streptococcus pnemoniaにおけるペニシリン耐性
S. pneumoniae (PRSP) の割合は43.4%であり, 1992年度の37.0%よりわずかながら上昇していた。これらPRSPに対する抗菌力はVCM, imipenem (IPM), meropenem, cefhirome, cefcapeneが優れ, 特にVCM, IPMはMIC90が0.20μg/mlと強かった。
Enterococcus faecalisに対してはampicillin, IPM, VCM, STが優れた抗菌力 (MIC
90≦3.13μg/ml) を示した。
Enterococcus faeciumに対しては各薬剤の抗菌力は弱く, 優れた抗菌力を示したのはVCMでMIC
90は0.78μg/mlであった。
Enterococcus raffinosusにはVCM, ST, ciprofloxacinが良好な抗菌力を示した。またMRSAや腸球菌属を含め今回薬剤感受性測定を行ったすべてのグラム陽性球菌の中ではVCM高度耐性株 (MIC:≧12.5μg/ml) は認められなかった。
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