江戸地本から派生した近代赤本は,明治大正期を通じて広く人々の読書受容を満たし,その製作思想・販売方法は,日本の近代出版資本主義の源流となる.これらは組織化・産業化を果たしつつあった近代メジャー資本によって周縁に排除されながらも,その二次流通品である特価本を扱うことによって補完関係を結び,出版市場を拡大した.出版史の中で軽侮されてきた赤本の変遷を追うことによって,今日的な意味を問い直す.
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