1.
Drosophila melanogaster (Oregon RS) を6つの独立の系統に分け, うち3系統を正常光条件で, 他の3系統を完全暗黒中で, パール餌料を用いて25°Cで飼った。数代から数10代おきに, 光に対する反応行動を試験した。この際暗黒系列のものは, 試験する1代前のハエを正常光のもとに返し, その子を正常光状態で育て試験に用いた。この報告はその108代目までの結果に関するものである。
2. 試験の種類は, テストチューブにハエを入れ, 20分間暗適応ののち, その一端にハエを集め, 他端から光を照らし, これに対する反応行動をみたもの (phototaxis+photokinesis 試験) と, このチューブの側面から散光を照らし, チューブの中の移動頻度をみたもの (photokinesis 試験) との2つである。
3. 結果は♂と♀で共通点とちがう点がある。共通点は, 暗黒生活を送ってきたものの方が, 光に対して鋭敏に反応するという点で, ちがう点は, ♂ではこの反応が主として photokinesis の差とみられるのに対し, ♀では phototaxis の差とみられる点である。
4. “phototaxis+photokinesis 実験” におけるちがいは, 光に2~3分間もあてておくとしだいに消えてしまうような, 極めて微妙なちがいである。
5. この結果は, Payne の “述べた結論” にかかわらず (かれは差は見いだしにくいとのべた), かれの実験のデータと一致する。
抄録全体を表示